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zoom RSS 茶と剣(15)

<<   作成日時 : 2017/02/28 05:52   >>

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(写真は 阿部正弘wiki)


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茶と剣(15)

ハリスに会いに行くまえに、
幕閣の様子をすこし見てみよう。

すべり落ちるように幕府が瓦解してゆく要因のひとつは、
老中阿部伊勢守正弘の優秀さであった。

優秀さが瓦解させた、
というのは変な言いまわしかもしれないが、
官僚としての阿部のあまりの優秀さは
繊細すぎるガラス細工に似てあやうさを感じた
というのが正確かもしれない。

天保12年(1841)、
わずか二十二歳の寺社奉行阿部正弘が
大奥騒動のときに発揮する老練にして果断な処置は、
二十五歳にして老中となる男のまさに面目躍如であった。

その阿部が、のちに攘夷開国に国が揺れたとき
島津斉彬に助けをもとめたのである。

そのことについて、
福地桜痴は『幕末政治家』のなかで
水野越前の言葉を引用してこのように書いている。

「徳川幕府創業の初より三代将軍家光公の時に当りて、
外様大名みな慴伏して臣礼を執りたるは、
 其実力の幕府に敵し難きを以てなり。
 爾来二百有余年の大平打続き、
 復志を伸すの機なきが故に、
 制度格式に拘束せられて、
 今日の姿とは相成りたれども、
 他日もし国勢に異状を生ぜば、
 必らずや外様大名の中にて幕府に敵するものあらん。

 就中薩州(島津)長州(毛利)の両家は、
 関ケ原の戦争に於て、
 徳川氏に対して深き怨を懐ける家柄なれば、
 現時外国関係の事漸く繁からんとする時機に際しては、
 最も薩長に向て幕府は注意せざる可からざるなり」

阿部が恃んだ斉彬の薩摩は
水野の予言通りやがて倒幕にむかう。

それは阿部にやや甘さがあったのか
あるいは当時の沸騰する攘夷論を抑えるには
開国論の斉彬を後ろ盾とするほか
手だてがなかったのか、それはわからない。

阿部と斉彬を結びつけた理由として
儲君(ちょくん)の問題(将軍継嗣問題)もあるのだが
それはまた後日として、
もうひとつ、
桜痴のこの一節が、
後世の阿部の優柔不断説を決定づけている。

「当時の跡を案ずるに、
 伊勢守が備中守と共に幕閣に在りしや、
 内には儲君の議あり、
 外には外交の議ありて、
 二者供に幕府の存廃盛衰に係るの問題たり。

  然るに伊勢守が此二重大問題に於ける、
 遽に是を観れば、
 優柔不断に流れて、
 確乎たる方針を定めざりしに似たり」

吉田松陰の直情と比較すればその差は歴然としている。

松陰の直情は果断であり、阿部の熟慮は優柔ともみえる。

先の、優秀さが瓦解させた、とはそういう意味である。

しかし蒸気戦艦にとり巻かれた幕末の波濤の中で
幕府という巨艦を操りながら、
勤王と佐幕、攘夷と開国、外様と譜代、
さらに一橋派と南紀派の将軍継嗣問題などの対立要因を内にはらみ、
内政のバランスを保ちつつ外夷に立ち向かう
という離れ業を為し得たのは、
卓越した調整役である安部正弘をおいて
ほかになかったともいえる。

ところでそのころ
ハリスは下田にむかう船上から日本列島の島影を見て、
胸中の思いをこのように記している。

「これらの日本の領土を見て、
 相矛盾する諸々の感情がわき起った。
 私の将来が、はっきりと念頭にうかんだ。
 一方には精神的と社会的の孤独、
 そして他方には重要な公的義務がある。
 もし立派に果すならば、
 それは、私の名誉となるだろう。
 世界に殆ど知られていない人民を調査して、
 その社会、道徳、政治の状態について報告しなければならず、
 同国の産物−動物、植物、鉱物−を確めねばならず、
 同国の工業生産物を見出さなければならない。
 さらに、通商取引についてのその能力、
 その欲するものは何か、
 交換に与うべき何物をもっているかを。
 新しい困難な言語をまなばねばならず、
 シナと朝鮮の歴史に若干の光を投ずるかも知れぬ
 一つの歴史を調べねばならず、
 そして最後に、
 いろいろな日本の宗教的信條を調べなければならない」

ハリスの下田上陸は間近となった。

ハリスは幕末日本になにをもたらすのか。

つづきはまたあした。

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