etude113

ペルリと並行して読んでいる
吉田松陰の『留魂録』。

きょうはそれについて
すこし書きとめておこうと思います。

それにしても長州は
どうしてあれほど多くの傑物を
輩出し得たのだろうとふしぎに思います。

思いついたままに記しても
久坂玄瑞、高杉晋作、木戸孝允、伊藤博文、
山県有朋、そして吉田松陰。

大国毛利氏が、
関ヶ原のあと長門周防両国におしこめられ、
付き従った藩士たちは困窮を極めて
ほとんど農民と同じ暮らしをするほどであったことは
よく知られているところです。

以前ブログに書いたことですが
静岡のように風光に恵まれ
海陸の産物があふれる風土では
克己心のつよい傑人はなかなか生まれにくい
ということなのでしょうか。

萩というひとつの街から
あれほど多くの維新の志士たちが生まれた背景に
吉田松陰の存在がまばゆく輝いていることに
気づかされます。

遺書『留魂録』を残して
わずか三十の若さで刑場の露と消えた松陰。

久坂は享年二十五、高杉は享年二十七、
松下村塾の英才たちの
あまりにも早すぎる死を悼みます。

しばらくペルリと並行して
長州を調べてみようと思います。

読みすすんでいる松陰の人生が
並行して読んでいるペルリの来航によって
大きく変転することも
歴史勉強の妙のように思います。

きょうは『留魂録』の
有名な一節をご紹介します。

********************


『留魂録』吉田松陰
 安政六年(1859)十月没

一、今日死を決するの安心は四時の順環に於て得る所あり。
  蓋し彼の禾稼を見るに、
  春種し、夏苗し、秋苅り、冬蔵す。
  秋冬に至れば人皆其の歳功の成るを悦び、
  酒を造り醴を為り、村野歓声あり。
  未だ曾て西成に臨んで歳功の終るを哀しむものを聞かず。
  
  吾れ行年三十、
  一事成ることなくして死して禾稼の未だ秀でず
  実らざるに似たれば惜しむべきに似たり。
  然れども義卿の身を以て云へば、是れ亦秀実の時なり、
  何ぞ必ずしも哀しまん。

  何となれば人寿は定りなし、
  禾稼の必ず四時を経る如きに非ず。
  十歳にして死する者は十歳中自ら四時あり。
  二十は自ら二十の四時あり。
  三十は自ら三十の四時あり。
  五十、百は自ら五十、百の四時あり。
  十歳を以て短しとするは蟪蛄をして霊椿たらしめんと欲するなり。
  百歳を以て長しとするは霊椿をして蟪蛄たらしめんと欲するなり。
  斉しく命に達せずとす。

  義卿三十、四時己に備はる、亦秀で亦実る、
  其の枇たると其の粟たると吾が知る所に非ず。
  若し同志の士其の微衷を憐み継紹の人あらば、
  乃ち後来の種子未だ絶えず、
  自ら禾稼の有年に恥ざるなり。
  同志其れ是れを考思せよ。  

(現代語訳)

 一、今日、私が死を目前にして、平安な心境でいるのは、
   春夏秋冬の四季の循環ということを考えたからである。
   つまり農事を見ると、春に種をまき、夏に苗を植え、
   秋に刈りとり、冬にそれを貯蔵する。
   秋・冬になると農民たちはその年の労働による収穫を喜び、
   酒をつくり、甘酒をつくって、村々に歓声が満ちあふれるのだ。
   この収穫期を迎えて、
   その年の労働が終わったのを悲しむ者がいるということを
   聞いたことがない。
   私は三十歳で生を終わろうとしている。
   いまだ一つも成し遂げることがなく、
   このまま死ぬのは、
   これまでの働きによって育てた穀物が花を咲かせず、
   実をつけなかったことに似ているから惜しむべきかもしれない。
   だが、私自身について考えれば、
   やはり花咲き実りを迎えたときなのである。

   なぜなら、人の寿命には定まりがない。
   農事が必ず四季をめぐつていとなまれるようなものではないのだ。
   しかしながら、
   人間にもそれにふさわしい春夏秋冬があるといえるだろう。
   十歳にして死ぬ者には、その十歳の中におのずから四季がある。
   二十歳にはおのずから二十歳の四季が、
   三十歳にはおのずから三十歳の四季が、
   五十、百歳にもおのずからの四季がある。
   十歳をもって短いというのは、
   夏蝉を長生の霊木にしようと願うことだ。
   百歳をもって長いというのは、
   霊椿を蝉にしようとするようなことで、
   いずれも天寿に達することにはならない。

   私は三十歳、四季はすでに備わっており、
   花を咲かせ、実をつけているはずである。
   それが単なるモミガラなのか、
   成熟した粟の実であるのかは私の知るところではない。
   もし同志の諸君の中に、私のささやかな真心を憐み、
   それを受け継いでやろうという人がいるなら、
   それはまかれた種子が絶えずに、
   穀物が年々実っていくのと同じで、
   収穫のあった年に恥じないことになろう。
   同志よ、
   このことをよく考えてほしい。

********************

きょうはここまで。

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