刀剣(10)

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(写真は 父方の祖父 中條克太郎景明一番弟子)

刀剣(10)

お蔵の壁から刀剣類を見つけだして、登録をすませたあとは、
それを研(と)がなくてはなりません。

当然刀剣は錆びたままですから、
良い研ぎ師を見つけて、もとの姿にもどすのです。

やがて、
島田市内に超一流の研ぎ師がいることを知りました。

その方(萩先生)にお願いしようときめたとき、
私の手もとに一通の現金為替がとどきました。

亡くなったばかりの大学の恩師、岡不二太郎先生の奥さまからでした。
封をあけると、二十万円がはいっていました。

岡先生の御遺言で、「河村君に刀の研ぎ代として」
ということのようでした。

感謝はもちろん感じましたが、
それよりもつよく驚きをおぼえました。

岡先生が亡くなる直前に、
今生最後の旅のお供をさせていただいたのですけれども、
そうはいっても、岡先生にとって、
私はただ一介の学生にすぎませんでした。

それなのに、遺言書に私の名前がしるされていたとは、
妻も私も、ただ驚き、その恩愛にふかく頭をたれました。

さっそく萩先生に研ぎを依頼して、ひと月ほどすると、
鞘から抜けないほど錆びていた一振りの刀が、
見事に研磨され、
白鞘におさめられた美しい姿で私のまえにあらわれました。

つづきはまた後日。

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