脳科学者 茂木健一郎先生による『冑佛伝説』序文(全文)

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小さな歴史と大きな歴史の交錯の中から 
                               茂木健一郎 (脳科学者)

 河村隆夫さんがふとしたきっかけで先祖代々伝えられてきた冑佛(かぶとぼとけ)と出会い、歴史の闇に埋もれていたこの「小さきもの」を白日の下に呼び戻すまでの経緯は、それ自体が一つの見事な物語のようです。

「冑佛など、見たことも聞いたこともありません」 という専門家たちの頑ななまでの否認から、ついにはNHKの大河ドラマの一シーンに姿を現すまで、その紆余曲折に満ちたストーリーは、「冑佛」という存在のかわいらしさや切なさと相まって、人々の心に深く訴えかけるものがあるのではないでしょうか。

 河村さんは静岡の旧家の出身で、若くして作家を志し、将来を嘱望されましたが、ご家庭の事情で故郷に帰り、その後は学習塾を経営しながら、独自の研究と文章修業に励まれてきました。私は機会あって親しくさせていただいておりますが、その温厚でしかし一本筋の通ったお人柄は、渡辺京二さんの名著『逝きし世の面影』のごとく、忘れていた大切な何かを思い起こさせます。

 歴史の転換点を迎えた今日の状況の中、切ない思いと深い祈りが託された「冑佛」の物語が、世に出ることを願ってやみません。

                                  2005年10月30日 

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